コレで完璧!産後に行う腹筋のリハビリテーション

コレで完璧!産後に行う腹筋のリハビリテーション

これをご覧いただいているということは、ご出産のご経験があることかと存じます。

出産経験のある女性にとっては、妊娠前のようなウエストにしたいとか、産後にもう一度ウエストをスリムにしたいと思うことはごくごく自然なお気持ちですし、同時に実現可能なことでもあります。

ただし、今回はこうした美容面だけにとどまらず、知識としても腹筋群は、呼吸、消化、血液循環、諸臓器の収納、背部の支持、歩行や日常生活労作など、実に様々な働きを担っている為、産後可能な限り早い時期に鍛えなおさなければならないことについてもお話し致します。

 

 

 

産後の体形はどうなる?

お産が終わって、起き上がるときにはすでに妊娠前のスタイルに戻っているなんてことはまずありません。相変わらずの妊婦体型で、胎児と分かち合っていた頃は愛おしかったお腹も、今ではぶよぶよに。

とはいっても、物事は少しずつ自然に元のさやに収まっていきます。

日常から、悪影響を及ぼすような誤った姿勢や動作を避け、正しい方向のトレーニングを行うことによって、自然の力を助けることが出来るのです。

尚、お産後は、腹筋の強化を考える前に、まずは妊娠によって変形してしまった腹筋群の状態をそれ以上悪化させないように気を配ることが大切です。

とりわけ、腹筋群は妊娠後期の3ヶ月間で約15cmも伸長し、左右に開いた状態になっています。つまり、産後6週間頃までは必然的にぶかぶかな腹直筋の状態だということを、肝に銘じておかなくてはなりません。

では、どのように腹筋群を鍛えるのか?ということになるわけですが、産後に強化しなければならない腹筋群は、それは、妊娠中胎児の下に位置していて、いつも手を当てていた部分の筋肉となります。

ここは、産後も重量感があるために、つい支えたくなるものですが、帝王切開のあとは特にそうです。腹筋群を鍛えると同時に、左右に離開した腹直筋を再び接近させる運動も重要となります。

これはコルセットを上から下に締める感じをイメージしながら実施するエクササイズでバストアップにもお勧めになります。

腹筋運動を行う際には、腹横筋(背中から前方に向かって下腹部を補強している筋肉)や、腹斜筋の強化を最優先します。

また、あわせて左右に離開した腹直筋(垂直方向に走行する筋肉)を元のように接近させるためには、腹直筋を縮めないで行うエクササイズも重要です。

※悪い腹筋運動 ↑

※気をつけたいことは・・・垂直方向に走る腹筋群をいたわるために、肩と腰を接近させるタイプの腹筋運動は絶対に行わないで下さい。

また、V字腹筋やシットアップ(足の甲を引っ掛けて行う)などの腹筋運動も一切忘れましょう。

腹筋運動を開始する時期は?

ということですが、そもそも何をもって腹筋運動と呼ぶのかにもよりますが、これから紹介するエクササイズはお産直後の分娩台の上から開始できるものになっております。

お産直後から産後の数日間にかけては、呼吸を基本にしたエクササイズや、身体を伸展させるエクササイズを集中的に行います。退院して帰宅するとあまり時間が取れないかもしれないので、入院期間を有効に活用してください。

退院後は、赤ちゃんとの休憩時間をしっかりと活用し、ここにあげるエクササイズは、授乳中でも、赤ちゃんを抱いたままでも、添い寝をしながらでも実施できるものばかりになっております。

※気をつけたいことは、腹筋を強化するために、わざわざ立位のような直立姿勢をとる必要はありません。むしろ常に水平姿勢で行うのがベストです。ハーフ・ブリッジのように骨盤を高くした逆さまの姿勢でのエクササイズもお勧めです。

様々なエクササイズ

これからのエクササイズは、諸臓器を上にあげ、子宮、膀胱、肝臓、脾臓、腸などのマッサージをする効果があると同時に、腹横筋や下腹部の筋肉の反射的な収縮を引き起こしてとても効果的にこの筋肉をへこませるように仕向けることの出来るエクササイズです。

身体の緊張具合に合わせていろいろな部分を同時に働かせるために、少し変化をつけて実施してみることにしましょう。

仰向けや横向きに寝た姿勢で行うエクササイズで赤ちゃんと一緒に実施も可能で、仰向けの場合もベッドやマットレスの上など快適な場所で横になってください。

※ただし、心不全および呼吸不全、更に高血圧症候群の疾患のある方はおやめ下さい。

 

背中をへこませて

仰向けに寝た姿勢で、身体を十分に伸展させ、後頸部を真直ぐ伸ばし、両手を組んで頭の後ろに当ててください。呼吸は自然と腹式呼吸になるはずです。この状態で、ペリネ↓

を収縮させて息を吐き、吐き終わったら呼吸を止めて顎を引き、手を頭に押し付ける動きを時々行って下さい。

※気をつけたいことは・・・頭の後ろに組んだ腕を無理に床につける必要はないということです。また、体が反らないように注意しましょう。

仰向けの姿勢に違和感がある際には、片足を曲げてその膝の上にもう一方の足をのせた姿勢や、椅子に両足を置いた姿勢で試して下さい。

背中を丸めて

仰向けに寝た姿勢で、今度は両手の甲を合わせ、顔の前に天井に向かって伸ばします。息を吐き、吐ききったところで息を止め、そのまま顎を引いてください。そして、頭を床に押し付けると同時に、両手を天井に向かって突き上げましょう。

このように背中をへこませたり、丸めたりする動作を交互に行うエクササイズは左右の肩甲骨の間の凝りやすい筋肉(ちょうどブラジャーのホックがあたる部分)をリラックスさせるのに効果的です。

ハーフ・ブリッジで(背中をへこませる)

仰向けに寝て、両腕を身体の横に置き、膝を曲げて両足を床につけ、後頸部を伸展させて下さい。まず、息を吐きながら骨盤を浮かし、更に両腕を支えにしながら体を押し上げ、背中を精一杯へこませて、お尻を可能な限り持ち上げます。

その後、身体を下ろすときには、まず両腕を頭の上に伸ばしてから、足の両方にお尻を引っ張るようにしながら体をゆっくりと下ろしましょう。

椅子を使って

もっとパワフルに身体を巻き込みたい人は、同じエクササイズで椅子を使用する事も出来ます。

思い切って背中を丸めて

仰向けに寝た姿勢で、膝を曲げ、両足を床に着きます。片足を反対側の膝の上にのせ、重ねた両手をその膝の上に置きます。両方の手を重ねる際には、左右の手をそれぞれ内側に回して指先を床に向け、肘は天井に向かってぐっと張ります。この姿勢で息を吐き、吐き終わったところで息を止め、顎を引きながら、頭で床をグッと押し、それと同時に左右の肘を上で接近させてみましょう。

 

横向きに寝た姿勢で

横向きに寝た姿勢で行うエクササイズは、授乳しながらでも行うことが出来ます。

 

しっぽを巻き込む猫

猫が両足の間にしっぽを巻き込むような動きで腰を軽く丸めます。この姿勢で行います。空気の出入りを遮断するために必要なら鼻をつまんで下さい。顎をぐっと引き後頸部を後退させます。

四つんばい姿勢で

次のような四つんばい姿勢やそれに相当する姿勢を行えば、特に便秘に対して効果的です。

基本のエクササイズで

まずは、四つんばいの姿勢で行いましょう。

 

首まで一直線で

四つんばいの姿勢をとり、息を吐ききったところで、顎を引いて、頭を押し上げ、後頸部が背骨と一直線になるようにします。四つんばいで肘を床について、腰が頭よりも高くなる姿勢をとると、ペリネのドルナージュ(リンパの流れをよくして老廃物を排泄する)を促進することが出来ます。

太ももを支えにして

立位で身体を前に倒し、両手をふとももについて身体を支えた姿勢で行ってみましょう。

四つんばいの姿勢で家具を支えにして

腕を組んで家具やベッド棚の上に置き、そこに額をのせて、お尻をグッと後方に引きます。この時、太ももと胴体の角度が90度以内になるように注意してください。この姿勢で身体を左右に揺らしましょう。

これは背中を最大限に引き伸ばすことの出来るエクササイズです。

猫のポーズで

猫の伸展エクササイズです。四つんばいの姿勢から、手のあった位置に肘をついて、前腕を床におろし、そのまま手を付きます。

手の位置が決まったら、猫が爪を立てるように指先を立て、お尻を後方に引き、額は床につけてください。少し身体を揺らした後で行えば、背中を思いっきり伸展することが出来ます。

身体の側面の伸展で

正しい四つんばいの姿勢で左膝を少し前進させ、左肘を床に着きます。右手は円の弧に沿わせるように出来るだけ遠くについてください。

このような姿勢で息を吐くと、特に伸びている側(この場合は身体の右側)のマッサージ効果があります。同じように左側でも行っていきましょう。

バッグなどものを持つ際には同じ側の手でもつことが多いのですが、そうすると非対称的な姿勢で、背中の片側だけの筋肉だけが収縮した状態になりがちです。

その点、日対照的な動きを取り入れたエクササイズは興味深いものです。心地よさにも左右差がありますが、緊張をとくために少しつらいと感じる側も頑張って引き伸ばしてみて下さい。

 

座位で

足台など低めの椅子の腰をかけて膝を曲げ足の裏を床に着いた姿勢で、またテーブルの前にある椅子に腰かけた姿勢からスタートさせて下さい。

 

背中をへこませて

テーブルの上または(低めの椅子の場合は)膝の上に肘をつきます。息を吐き終わったところで息を止め、顎を引き、後頸部を後ろに下げて、テーブルや膝に肘をグッと押し付けてください。

こうすると胸が上にぐっと持ち上がるはずです。

背中を丸めて

先ほどと同じ座位からスタートします。膝やテープの上に、今度は肘だけではなく両手をつき、左右の手をそれぞれ内側に回して指先をお腹のほうに向けます。そして、息を吐ききってところで息を止め、顎を引き、後頸部を後ろに下げて、左右の肘の上で内側に近づけてみましょう。

鷲のポーズ

これは、今行った背中を丸めるエクササイズの変形です。腕を交差にさせて手を肩に当ててください。そのまま息を吐き肩を上に持ち上げ、それをさらに前方に滑らせるような動きと同時に、顎を引き、後頸部を後退させます。

背中の緊張をしっかりとほぐすことの出来るエクササイズです。

今回はここまでとなります。是非試して見て下さい。