子どもの朝寝坊に悩まされている親御さんってどの位いるのでしょう?
どなたでもある時期は、親御さんに強めの口調で起こされた経験があるのではないでしょうか?
ただし、子どもには、怠け癖でやっている子と、病気で体が動かせずに知らぬ間に苦しんでいる子ども達もいるのです。起立性調節障害(OD)は非常に見分けるのが難しい病気です。子どもは思春期で精神的成長もしていきます。その中で我慢や、主張を覚えてり、悪知恵が働いて休もうとしたりもします。だからこそ、非常にデリケートな症状でもあるのです。
あなたは身に覚えないですか?
小さい頃やたらと朝起きるのが億劫だったり、夜なかなか寝付けなかったりした覚えありませんか?
小学校に上がりたての頃は非常に子どもにとって大切な時期になります。
環境が一変して精神的な成長が大きく変化する時期だからです。異常なまでの緊張や、興奮、興味、喪失感いろんな感情が芽生える時期なのです。
実はあなたもそうだったかもしれないチェックシート
起立性調節障害の症状
1. 立ちくらみ、あるいはめまいを起こしやすい。
2. 立っていると気持ちが悪くなる、ひどくなると倒れる。
3. 入浴時、あるいはいやなことを見聞きすると気持ちが悪くなる。
4. 少し動くと動悸、あるいは息切れがする。
5 朝なかなか起きられず、午前中調子が悪い。
6 顔色が青白い。
7 食欲不振。
8 強い腹痛を時々訴える。
9 倦怠あるいは疲れやすい。
10 頭痛をしばしば訴える。
11 乗り物に酔いやすい
心身症としての起立性調節障害チェックリスト
以下の項目のうち、週1~2回以上認められるものをチェックしてください。
□ 学校を休むと症状が軽減する。
□ 身体症状が再発・再燃を繰り返す。
□ 気にかかっていることを言われたりすると症状が増悪する。
□ 一日のうちでも身体症状の程度が変化する。
□ 身体的訴えが二つ以上にわたる。
□ 日によって身体症状が次から次へと変化する。
環境調整や心理療法を要する起立性調節障害の基準
以下の項目のうち、週1~2回以上認められるものをチェックしてください。
□ 午前中に症状が強く、しばしば日常生活に支障があり、週に1~2回遅刻や欠席がみられ、チェックリストの4項目以上を満たす。
□ 強い症状のため、ほとんど毎日、日常生活や学校生活に支障をきたす。
□ 登校できない状態が続いている。
起立性調節障害の症状
そもそも、起立性調節障害を聞いたことがない方がほとんどではないでしょうか?
起立性調節障害の症状としては、立ちくらみ・めまい・ふらつき、頭痛、気分不良、倦怠感などの他、動悸、腹痛、食欲不振、朝起きられない、夜寝つけないことや、時には失神発作を起こしてしまうこともあります。
多彩な症状のため診断がつかず治療が遅れることがあり、また本人の訴えでしか判断できない症状が多く、午後や夜には元気になることから怠けや学校嫌いと捉えられる場合もあります。
原因
起立性調節障害は、自律神経の調節の乱れによって起こります。
自律神経活動には24時間周期のリズムがあり、早朝になると交感神経活動が増えて身体を活性化し、夜には副交感神経活動が高まり身体を休養させるといった働きが正常です。
ところが、起立性調節障害では、午前中に交感神経が活性化せず5~6時間以上も後ろにずれ込んできます。
このため、朝に身体が休止しているような状態になり、その一方で、深夜になっても交感神経の活動性が下がってこないので、夜は身体が元気になり寝つきが悪くなります。
起立性調節障害は、思春期で最も起こりやすい疾患の一つであり、約5~10%が発症すると言われています。
自律神経の乱れは、季節や気候の変化、生活リズムの乱れ、心理的・社会的ストレス等の複合的な原因で発症しますが、思春期の時期の子どもは特に、学校においての人間関係や急激な身体の成長と変化など、特有の心理的ストレスにさらされることが多く、また自立心が育ちきっていない未熟さゆえに、心身に現れるさまざまな症状に負けてしまいがちです。
治療法
1)疾病教育
・中等症や重症の多くは倦怠感や立ちくらみなどの症状が強く、朝に起床困難があり遅刻や欠席をくり返していますが、保護者の多くは、子どもの症状を「怠け癖」や、ゲームやスマホへの耽溺、夜更かし、学校嫌いなどが原因だと考えて、叱責したり朝に無理やり起こそうとして、親子関係が悪化することが少なくありません。
・本人と保護者に対して、「ODは身体疾患である、「根性」や気持ちの持ちようだけでは治らない」と理解を促すことが重要です。
2)非薬物療法(日常生活上の工夫)
・座っていたりや横向きに寝てから起立するときには、頭位を下げてゆっくり起立する。
・静止状態の起立保持は、1-2分以上続けない。短時間での起立でも足をクロスする。
・水分摂取は1日1.5-2リットル、塩分を多めにとる。
・毎日30分程度の歩行を行い、筋力低下を防ぐ。
・眠くなくても就床が遅くならないようにする
遺伝することも研究で明らかに
ODは、遺伝によって発症することも確認されています。だからと言って、親が自己嫌悪にならず、子どもにやさしく寄り添て心の声を聞いてあげてください。
ODは、子どもの心理的ストレスを軽減することが最も重要です。保護者、学校関係者がODの発症機序を十分に理解し、医療機関―学校との連携を深め、全体で子どもを見守る体制を整えてあげてください。チェックシートで1・2個当てはまるからといって病に罹っていると決めつけるのではなく、必ず子どもと同じ目線で話し合ってみてください。